口腔アレルギー症候群2

ヨモギ・スパイスアレルギーについて
ちょっと気になったので文献を取り寄せて読んでみました。
(医学のあゆみ Vol. 209 No. 3 2004. 4. 17  p.165-168)

ヨーロッパでこうした食物アレルギーは多いみたいで、
特に果物や野菜のアレルギーが多く報告されています。

スペインのヨモギ花粉症患者で27.3%で食物アレルギーを認め、
ヒマワリの種子、カモミール、レタス、ピスタチオ、ハチミツなどに、
イタリアの牧草花粉症では、メロン、スイカ、トマト、オレンジで
アレルギーが関連しているという報告があるそうです。

シラカンバ花粉症は北欧に多く、
シラカバアレルギーのでスパイスに対するスクラッチテストでは
1/3の患者さんで陽性だったそうです。

あるいはアメリカではブタクサ花粉症では、
メロン、スイカ、キュウリ、ズッキーニ、バナナとの関連が知られているそうです。

日本では、メロン、モモ、スイカ、キウイ、リンゴ、イチジクなど。

口腔アレルギー症候群は、
Stage1:口腔・咽頭に限局した痒み・浮腫
Stage2:全身の蕁麻疹
Stage3:起動・消化器症状
Stage4:アナフィラキシーショック
と、症状が発展していく可能性があります。

リンゴなどは胃で消化されると抗原も消化されるため、
口の周辺までの症状にとどまることが多いそうですが、
スパイスやセロリ、キウイ、ナッツなどは、
抗原が消化されず、加熱しても失活しないらしく、
全身状態が生じると考えられています。

スパイスに対するアレルギーは、
我が国では報告は少ないそうですが、
海外ではまれではないとのこと。
(前記の論文は2004年のものなので、
今はもっと増えているかもしれません)

スパイスのアレルギーには、
蕁麻疹、呼吸器症状、消化器症状を呈するI型アレルギーと、
手の湿疹などをおこすIV型アレルギーがあり、
後者は食品取り扱い業者(スパイス、野菜、パン、菓子など)に多い。
ただし手指疹はI型も併発していることがあるそうです。

花粉との関連ばかりではないようですが、
ガーリック(ユリ科)、マスタード(アブラナ科)、シナモン(クスノキ科)、
ローリエ(クスノキ科)などに反応がある様です。

そういえば、漢方薬には桂皮や桂枝が入った薬剤が多いですが、
これらにはシナモンがく含まれており、
シナモンアレルギーには注意と言われています。

こうしたアレルギーの症状は主に、
口周囲皮膚炎、歯肉炎、胃炎などが多いそうですが、
ガーリックでは喘息や接触性皮膚炎などあり、
マスタードではアナフィラキシーを呈することも報告されているとか。
ちょっと怖いですね。

その他、頻度はかなり少ないんのでしょうけど、
日本におけるスパイスアレルギーとしては、
ペパーミント、ターメリック、シナモン、クローブ、
メントール、カレー粉、ワサビなどで報告があるそうです。

食物アレルギーの診断においては、
血中IgE RAST値では、偽陰性になることがあるそうで、
花粉症との関連を考慮に入れる必要があるそうです。