本:「耳が聞こえにくい」は脳トレで治る!2 

昨日からの続きです。

著者の加藤先生は14歳の時に、
すでに「脳を鍛える方法」を知りたくて医学部を目指されたそうで、
それを実現し、さらにアメリカで脳に関わる仕事をされてきた、
いわば脳の専門家です。
その専門家がわかりやすく聴覚と脳の関係を解説して下さっています。

脳には左右約60ずつ、両方で約120の区画があるそうですが、
まずは、それを大きく8つに分類されています。
1)聴覚系脳番地
2)記憶系脳番地
3)思考系脳番地
4)視覚系脳番地
5)理解系脳番地
6)伝達系脳番地
7)感情系脳番地
8)運動系脳番地

音を聴くとき、当然聴覚系脳番地がしっかり働く必要がありますが、
音を意味あるものとして認識し、
意味を理解し、他のアクションにつなげるためには、
聴覚系以外の脳番地も効率よく働かせる必要があるわけです。

そのための脳トレを著者は、「攻めの脳トレ」と呼びます。
「攻め」というのは、元来の「脳トレ」というのは、
認知症の予防であったり、現状維持を目的としているのに対し、
もっと積極的に行って聴きとる能力をアップさせよう
という観点から名付けられたものです。

人間の脳には潜在能力細胞(未発達だが成長の可能性を持つ)があり、
外部から刺激が入ると成長を始め、
他の細胞とネットワークを作りながら発達するそうです。
この能力は、赤ちゃんでものすごく活性化しているのはもちろんですが、
何歳になっても残っているそうです。

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まずは総論的なことから。

・人の話を聴かない生活習慣は聴く力を奪う
以前、「ルーの法則」というのをこのブログで書いたことがあります。

1)身体の機能は使用しなければ衰える
2)身体の機能は使いすぎると障害される
3)身体の機能は適度に使用すれば増強することができる。

この時には、ヘッドホン難聴の様な「使いすぎ」に対して
警告の話をしましたが、「使わなさすぎ」にも問題があります。
つまり、「聴力を使わない=人の話を聴くことが少ない」
そうした生活習慣が続くと、聴く力は退化していきます。

特に一人暮らしでしかも家から出ない人は注意が必要です。
これはテレビを見ているから大丈夫というものでもありません。
生の声を聴いて、その人の表情を読んだり、
こちらの意図を伝えたりしながら、
コミュニケーションを取ることをしないと
総合的な聴く力は徐々に落ちていきます。

これは独居老人だけの話ではありません。筆者は、
若者のスマートホンへの依存に対する注意喚起もされています。
スマートホンは視覚優位なため、
聴覚を使わない生活習慣に陥りやすいのだと。

そういえば、若い人で
「何となく聞こえにくい」と受信される人の中に、
聴力検査をしても正常という人が時々いらっしゃいます。
こういう症状の人は、
疲れがたまっていて脳の処理能力が遅くなっている人もいますが、
スマホの影響という人も結構多いのかもしれません。

・マンネリ脳は聴く力の敵である
先に紹介した潜在能力細胞というのは、
活性化するためにはマンネリ脳ではダメ、刺激が必要なんだと。
本書には「マンネリ脳チェック」として20項目が書いてありました。

・最近「めんどくさい」とつい思ってしまうことが多い
・1年以上実現した夢がない
・スマホが近くにないと不安になる
・ここ数年新しい友人が増えていない などなど。
(興味を持たれた方は本書をお読み下さい)

↑これは僕の中の「あるある」の一部です。
このチェックで結構たくさん該当するものがありました。
20個中11個以上該当するものがあれば要注意だと。

・聴く力にはもともと個人差がある
あくまで傾向ですが、
男性は女性に比べると聴覚系脳番地の働きは弱いそうです。
(確かに、嫁さんに「あなた、私の話、ちゃんとと聴いてる?」
とダメだしされることがあります。)

その他、学生時代によく出来た人の方が、
聴覚系脳番地の働きに問題がある場合があるそうです。
これは、過去によく出来た人ほどプライドが高くなり、
「話を聴き直す」ことや、「わからないと相談する」ことが、
できなくなってしまうことからだそうです。
また、失敗や挫折によって試行錯誤することが少ないため、
そうすると脳に新しい刺激が入らないため、
脳を使わなくなるのだそうです。

・苦手を放置すると潜在能力細胞は刺激されない
苦手なことを行うのは、最初は多少の苦労を伴うでしょうが、
挑戦して得られる刺激は大きければ大きいほど、
潜在能力細胞は育ち、脳は活性化するのだと。

・脳の「クセ」を自覚して利用する
脳にはクセがあると筆者は言います。
それは、その人固有のクセと、万人に共通するクセがある。

万人に共通するクセとして、
1)褒められると嬉しい
2)数字を示すと認識しやすい
3)締め切りがあると集中する
4)睡眠によって作業効率が上がる

その人の固有のクセとは、
思考のパターン=「好き、嫌い」なんだそうです。

こうしたクセを把握しながら脳を鍛えることが大切なんだと。

・「させられている」ではなく「やりたい」が大切
受け身の状態(させられ思考)では、
流れてくる情報を一方的に受け取るだけで脳番地の刺激も少ない。
能動的な「したい思考(やりたいと思う攻めの思考)」に
変化させることが大切であると。

明日に続く