本:悩みの9割は歩けば消える3

この本の後半では、歩くことから離れて、
心の持ち方のような話もされています。

現代人は自己肯定感が低く、
ひずんだ自己愛になっている人が多いと筆者は言います。
それは、社会が発展してきた親世代の価値観と、
現代社会が求めている価値観が違うがために、
このねじれのために自己愛がひずんでしまっているのだそうです。

一昔前は、忠誠心をもって上司の指示に従う、会社を大切にする、
といった人材が世間や社会が求める人材でした。
それがバブル崩壊後、求める人材は、
独創性や自立心、コミュニケーション能力などに
変わってきたそうです。

親世代の期待するイメージで社会に出てきたのに、
社会ではそれはいらないと。
親世代は、自己愛の延長として子育てをしてきたため、
はしごを外された子ども世代はどうしたらいいかわからないのだと。
これが自己愛がひずんでいく一因なのだそうです。

そこで、筆者は、健全な自己愛を育む唯一の方法は、
自分への思いやり、慈しみの気持ちを養うことだと言います。
これを「自慈心」という言葉で表しています。

そして、自慈心には3つの要素があるといいます。
1)自分への優しさ
他人に優しくするように自分にも優しくする。
それができないと、つい見返りを求めてしまい、
見返りをくれない他人に対して
ネガティブな想念をもってしまうのだと。

2)センス・オブ・コモン・ヒューマニティ
皆人間、誰もが不完全である、という感覚をもつこと。

3)マインドフルネス
上記2つが理念であるのに対して、マインドフルネスは実践。
歩行瞑想や呼吸瞑想を続けていくうちに、
自分に優しくする生き方、人の不完全さを許す生き方が
できるようになってくるそうです。

そして最後に、幸せの極意について。
それは、「今、ここ」に集中すること。
つまりマインドフルネスですね。
過去や未来にとらわれないことで、
禅の世界では「前後裁断」というそうです。
そのためにも歩きましょう!と。

また、もう一つちょっと面白いなと思ったのが、
「思考抑制の逆説的効果」という言葉です。
つまり、ネガティブな感情が出てきたときに、
それを否定しようとすると逆にますますひどくなるという話。
「シロクマのことは考えるな!」という話は有名です。

慢性の耳鳴りの増悪メカニズムの一つがこれですね。
「耳鳴りを気にしないでおこう!」
と、努力すればするほど耳鳴りが気になるのはこれです。

この思考抑制の逆説的効果を外すのに、
マインドフルに歩く習慣が役にたつそうです。
人間の感覚は同時に1つしか感じることができません。
だとしたら、足の裏の感覚に集中することで、
耳鳴の嫌な感覚を追い出すことができるかもしれません。