未来患者学2018 vol.1

今年の夏休み(8/11~8/19)の話として、
POLA MUSIUM ANNEXの野口哲也展と、
東京ジャーミィの話をしましたが、
東京に出かけたのにはもう一つ理由がありました。

8/11御茶ノ水ソラシティカンファレンスで開催された、
「未来患者学2018」というイベントに参加するためでした。

これは、最近カラダとココロについて、
いろいろな本を出版、セミナーなどを積極的にされている、
おのころ心平氏が発起人となり、
いろいろな分野で活躍されている方と一緒に、
よりよい医療文化を創っていきたいという想いが
形になったオープンセミナーです。
患者未来学とは?
https://mma-j.com/mma/

講義内容は、どれも面白そうな内容だったのですが、
5つの部屋で同時に講義が進みますので、
実質4つくらいしか見ることができなかったのが
ちょっと残念でした。

その中で、見てきたものをいくつかご報告します。
1つめが、オープニングの特別セミナー。
講師はテレビでもおなじみの脳科学者、茂木健一郎先生。
題名は、「心って、謎ですね」。

この演題は、実はおのころ心平氏が、
その昔、河合隼雄先生に講演を
お願いしたことがあったそうなのですが、
河合先生が体調を崩され、結局かなわなかった、
その時の演題なんだそうです。

今回は茂木健一郎先生が、
河合隼雄先生のエピソードなどを交えながら、
楽しくお話をしてくださいました。

河合隼雄先生は日本に心理カウンセリングを導入した
第一人者ですが、箱庭療法なども手がけられていたそうです。
ところがある日、ある患者さんが、
その箱庭を窓から捨ててしまったそうです。
しかし、その患者さんは、
それがよかったのかどうかはわかりませんが、
結果的に治ってしまったそうです。

これに対して、河合隼雄先生は、
箱庭療法というのは標準化がむずかしい、
けれど、結果的に治ればいいんです、と言われていたそうです。

こうしたことをふまえて、茂木先生は病気を扱うときに、
医療を提供する側と受ける側の間にある溝についてお話されました。
つまり、
医療者にとっては、病気を扱う時に、
EBM(証拠に基づいた医療)というものを重要視します。
それは、たくさんの患者さんと出会い、治療を行う時に、
「何が効くか」ということをはっきりさせていくことが、
最終的に患者さん全体に対して有益なことだからです。

ただ、患者さん一人一人は、各自の人生を生きています。
ある治療の有効率が○○%だとしたとしても、
その治療が目の前の患者さんに効くかどうかはわからないわけです。
しかし、患者さんにとって最も知りたいのはそこななわけです。

ここで茂木先生は、カリフォルニアの研究者の話をされました。
認知症や重症のがん患者さんの中には、
なぜか治ってしまう人が時々いることが分かっている。
どうも、複数のパラメーターが効いて治ったみたいなんだそうです。
そのパラメーターとしては、
食事であったり、運動であったり、笑い、瞑想・・・などなど、
それは人によって様々。
それらのいくつかの組み合わせがうまく働くと治るようなのだが、
しかし、その組み合わせが膨大すぎてよくわからない。

これは、現在のところEBMの枠組みでは解析できない。
パラメーターが多すぎるため。

よく、「私は○○で治りました」と言う人がいるが、
これはかなりの確率で間違っていると。
治癒のなりたちは複雑系であり、
言葉で説明することは、その一部でしかない。

次に茂木先生は、いくつかの心理にまつわるお話をされました。
・ポジティブ心理学
こういう分野があることを僕は知りませんでしたが、
この心理学の中に、”フロー”という概念があるそうです。
リラックスがうまくできている時にこそ、
最高のパフォーマンスが得られ、自分も変わることができる
というものだそうです。これを、うまく利用すれば、
難治性の病気も治癒に向かうことができるのかもしれません。

・マインドフルネス
近年、この言葉はよく耳にしますが、僕は詳しくは知りません。
瞑想やヨガといったものを汎用化させたもの。
価値判断するのではなく、感じるのみ。
それを進めることで、ストレスがなくなるそうです。
なぜなら、多くの場合、こうだと決めつけていると、
うまくいかない場合にストレスを感じるからだそうです。

・ポジティブの感情とマイナスの感情
マイナスの感情が起る時は貯金だと思うこと。
苦しいことは成功のための貯金。
どうしたら、ネガティブをポジティブに変えることができるか?
⇒これには”メタ認知”が必要。
メタ認知とは自分を客観的にみること。