日本東洋医学会関西支部例会

もう10日近く前になってしまいましたが、
11月5日のグランフロント大阪で行われた、
日本東洋医学会関西支部例会に出席してきました。

今回、一番聴きたかったのが、特別講演:
Cooperate総合診療科の診方 漢方の見方
~舌痛・ゆらぎ感を訴える患者さんを総合診療学・漢方両面から考える~

講師は、奈良県立医大総合診療科教授 西尾健治先生と、
大和漢方医学薬学センター 三谷和男先生

三谷先生は京都府立医科大学准教授時代、
時々勉強会に参加させていただいたことがあり、
単なる漢方の実践以上のことを学ばせていただきました。

今回の講演、実は、当初は題名から、
「おっ、舌痛症とゆらぎ感に関する漢方か。
舌痛症は中々治療に難渋する症状だし、
ゆらぎ感じはめまいやふらつきの周辺症状と考えれば、
これは役に立ちそう!」
と、それくらいの考えで出席したのでした。

まあ、僕も多少は漢方を囓ったものですから、
こうした患者さんに対して、
どうんな漢方薬を使ったら良いかというのは多少知っています。
その知識を補強できるような話が聞けるのだろうなと思っていました。

ところが、実際には全く違うものでした。

以下、いつものごとく僕の備忘録としての講義メモです。

ここでは三谷先生が症例を呈示し、
それをまずは漢方的な視点から解説し、
そのあと西尾先生が総合診療科的な視点から解説されました。

僕が学生のころには、まだ総合診療科というようなものはなく、
(いまでもまだまだ少ないのかもしれませんが)
実はどういう診療科なのか、
今ひとつわからなかったのですが、
患者さんの見方として、
全人的なアプローチをせよと教えられてられるそうです。

ま、全人的なアプローチというのは、
どの科でも本当はしっかりやるべきなのですが、
実際の所は中々踏み込むことができません。

まあ、そんな中では本来漢方・東洋医学というのは、
全人的なアプローチと親和性の高い領域だと思います。

実際、三谷先生の講義を昔聴いた時にも、
”単に患者さんの今出ている症状だけから判断するのではなく、
その人の持っているバックグラウンドを考えながら処方を考えるべき”
とお話されていたのを覚えています。

ですので、三谷先生も、
そのあたりは十分考えての症例呈示だったと思います。

そこで、西尾先生のお話は、
まずは、患者さんに対して、全人的なアプローチを、
きちんと系統だった考え方でやっていく方法をお話されました。

たとえば、患者さんの背景を理解しようとするときには、
COLDCREAMで考えろ!
(ま、今の医学生さんは普通に習ったことなのかもしれませんが)
つまり、
C:Character(舌痛症を例にすれば・・・痛みの性状、どんな痛みか)
O:Onset(いつ始まったか)
L:Location(痛む場所)
D:Duration(持続時間・・・どれくらいの期間か、痛まない時間があるのか)
C:Character(痛みの程度:VASスコア)
R:Radiation(放散痛や関連痛について)
E:Exaggerate(増悪因子)
A:Ameliorate(改善因子)
M:Medication(薬との関係)

そして、社会との関連:どういう立場にあるか、人間関係に注目。
家族関係、恋人関係、会社関係・・・ストレスはどうか?

患者さんが現在どういう精神状態か?
イライラ感、不安感、陰鬱・ゆううつ感などを把握すること。

患者さんが言っていないことを当てなければいけない。

なおりにくい病気になっているのは、
発症の原因だけでなく症状が維持される因子がある!
⇒これは目からウロコでした。
発症の原因という考え方は何となくしていましたが、
症状が維持される因子というのも考える必要があるわけですね。

僕は、今までの何となく場当たり的に直観的に考えていましたが、
わずかですが、立体的にとらえることができるような気がしました。