本:一緒に治せる めまいと頭痛

『一緒に治せる めまいと頭痛』 五島史行、 金原出版

五島先生の本については、以前、zutuutomemai
めまいのリハビリテーションに関する2冊

のところで、
『自宅で治せる めまいリハビリ』という本を
ご紹介させていただきました。

今回の『一緒に治せる めまいと頭痛』は、
上記の本の姉妹本のようなものです。

前の本もオススメの本なのですが、
今回の本はそれ以上にオススメです。

今回の本の最もオススメのところは、
「片頭痛関連めまい」について詳しく書かれているところです。

片頭痛関連めまいというのは、
めまいを扱う医師の中でもようやく最近
認識されるようになってきた疾患概念です。

僕も、そういうめまいがあるということは、
何となく知っていましたが、
一つの疾患概念としてはあまり重きを置いていませんでした。
つまり、単にめまいと片頭痛がたまたま合併していたのだろう
くらいに思っていたのでした。

それが、先日の耳鼻咽喉科臨床学会の総会で五島先生の講義を聴き、
そのあとでこの本を購入して家で読んでみたところ、
ようやくその疾患概念を理解することができ、
めまいを診る立場として、
十分考えておく必要があると認識しました。

実際に、この本には片頭痛関連めまいについて、
生活指導に始まり、予防薬の使い方、
発作時の治療薬の使い方など、
我々医師が読んでもすごく役に立つ内容が書かれています。

また、この本には、
頭痛の予防のための頭痛体操や、
ストレスや不安に対する対処法として、
腹式呼吸に始まり、今流行のマインドフルネスや、
自律訓練法についても詳しく説明してあります。

さらに、めまいのリハビリなどについても書かれてあって、
ちょっとてんこ盛りの内容で、
一般の方が読むにはちょっと大変かもしれません。

ただ、この本の「おわりに」のところは
特に一般の方に読んでいただきたいところです。

>実は人生の質は気分で決まります。
「ゴキゲンな気分で過ごすこと」が、
楽しい人生を送るためには必要なのです。
(中略)
ゴキゲンになるためにはいくつかのコツがあります。
最も大切なことは、
過去にこだわったり将来のことを心配したりするのではなく、
今を生きることです。
(P.152 ”おわりに”より抜粋)

めまい患者さんに限りませんが、
受診される患者さんの中には、
日々の生活で心身ともに疲れ果てている方、
苦労が見受けられる方がたくさんいらっしゃいます。
それも近年、益々増えているように思われます。

そうしたものがめまいを始めとする
色々な治りにくい症状として表現されていると思われるのですが、
患者さんはつらい症状しか見えなくなってしまっています。

まあ、実際にはどうしようもない状況におかれている方も
いらっしゃるのでしょうが、なんとかちょっと視点を変えて、
つらい状況をなんとか乗り切っていただければと思います。

五島先生は、現在、耳鼻咽喉科領域における
心身医学の第一人者と思います。
その先生が書かれたこの本は、
単なるめまいの解説本を越えたものになっています。

めまいと頭痛、両方の症状をお持ちの方、
若いころ片頭痛持ちだった方でめまいに悩まされている方、
などに特にオススメです。