僕が医師になるまで22

もう少しだけ漢方を学び始めた時の話をします。

当時、日本文化研究会(日文研)のメンバーは
僕も含めて4人だったかと思います。
薬理学の助教授永田先生に月に1、2回、
先生の官舎に押しかけて
漢方の勉強会をしていただくことになりました。

まずは漢方古方派の基本である陰陽・寒熱・虚弱から。
脈診や腹診などについても詳しく教えていただきました。

今まで、草木を煎じて飲むくらいにしか思っていなかった
漢方についての知識のなかった僕にとって、
臨床医学がまだ本格的に始まっていなかったこともあって、
こうした漢方の勉強は楽しいものでした。

この勉強会には、もう一つの楽しみがありました。
永田先生の官舎にお邪魔して、みんなで勉強するのですが、
先生は讃岐うどんを自分でうつこともマスターされていて、
時々、うどんをその場でうってごちそうしてくださいました。
さらには打ち方も教えてくださったのですが、
残念ながら、そちらの方はすっかり忘れてしまいました。

この漢方の勉強会、結局、6年生になって
卒業試験や国家試験の準備で忙しくなるまで続きました。

僕は知らなかったのですが、
日文研では、その後も新しい人が入り、
漢方の勉強会は永田先生が退官されるまで、
10数年続いたそうです。

3,4年前になりますが、
高知医科大学(現在は高知大学医学部)の
卓球部主催で毎年行われている現役・OBの懇親会に
卒業して初めて参加したとことがありました。

30年以上たっていて、
その時は卓球部の顧問は僕の3つ上、
一期生の先輩が就任されていました。

そのOB会で、現役学生の後輩と話をしていましたら、
その後輩、日本文化研究会だといいます。
へぇ~、今でも続いてるんだ!
研究会ができた頃のメンバーだと知って後輩もびっくり。
そんな形で倶楽部が続いていると聞いて嬉しくなりました。

まあ、そんなわけで、
僕が漢方を学び始めたのは結構早かったのですが、
卒業後、耳鼻咽喉科医になって、
西洋医学を優先的に勉強したため、
実際に外来で漢方薬を使う様になるのは
しばらくしてからのことでした。

それでも、この時の勉強が、
今の僕の診療の一部を支えるものになっているのは確かです。