解決志向型ブリーフセラピー(SFBT)

解決志向型ブリーフセラピー(SFBT)の概要をお話します。

昨日、一昨日のエントリーも合わせてお読み下さい。

<基本的概念>
クライエント(僕の場合患者さん)の問題点の原因検索をするのではなく、
問題点が解決されたあとに焦点をあてる。

一般的な相談事であれば、問題点というのは、
例えば、いじめであったり、飲酒がやめられないといったものです。
僕の場合は、患者さんが耳鳴りで困っているといったものです。

一般的な解決をさぐる方法は、
なぜそういうことが起こってしまったのかを分析して、
解決策を探ろうとします。
医療であれば、検査をして原因となる病気の診断をつけ、
それに見合った治療を行います。

これに対して、SFBTでは、原因探しはいったん置いておいて、
もし、その問題が解決されたなら、どうなっているかという、
解決像にフォーカスをあてて会話を進めていくところが特徴です。

もちろん、医療の場合、
現代医学を基に行っているわけですから、
まずはきちんと診断することが大切です。
それでも、検査しても全く異常がないという場合がでてきます。
あるいは、原因はわかっても
現代の医学では治療法がないという場合もあります。
そうした時にSFBTの出番です。

<基本的スタンス>
・解決するためのリソース(素材)は、クライエントの中にあると考える
⇒クライエントが持っているので、それを引き出すのがセラピストの仕事

・すでにうまくいっていることがあれば、どんどん続けろ
・もし、一度やってうまくいったのであれば、またそれをせよ
・もし、うまくいっていないのであれば、違ったことをせよ

・例外を探せ!
⇒患者さんは、問題点にしか眼がいかなくなっています。
本当は日常生活の中で、問題点に困っているのは、
常時、24時間ではないはずです。
何事もなく過ごしている時間があることに気づいてもらう必要があります。

<解決像のフォーカス・・・そのために有効なクエスチョン>
・ミラクルクエスチョン
もし、朝目が覚めた時、奇跡が起きていて、
問題点が完全に解決されていたとしたら、
あなたはどうしていますか? 何がしたいですか? 何が変わりますか?
周囲はどう変わりますか?
など。

主に問題が解決された時のイメージを持ってもらいます。
まあ、変なことを質問しますので、
患者さんは一瞬戸惑われます。
そんなこと考えたこともなかったと、皆さん口々に言われます。

・スケーリングクエスチョン
最悪だった時を100点として、問題が解決された状態を0点としたら、
今は何点ですか?(逆でもOK:最悪0点・完全解決100点)
○○点が10点改善したとすれば、それはどこが変わったからですか?
など。
こちらの方が質問としては尋ねやすいですね。
100点という人もいますが、70点とか80点と言う人も意外といます。
そういう場合、それが「例外」です。
実はうまくやっている時があるわけで、それを確認してもらいます。

・コーピングクエスチョン
これまで、そんな大変な状況下で、どうやってなんとか対処してきたのですか?
など。
いつも100点(最悪)と答える人の場合。
その答えの中にリソースが眠っています。

ミラクルクエスチョンの場合、
うまく解決像がイメージできたなら、
その中から比較的簡単にできそうなものを選んで、
実際に奇跡が起こったふりをして行動してみてもらう
という課題につながります。
ある種、行動療法にもつながるわけです。

スケーリングやコーピングクエスチョンの場合は、
例外に気づいてもらい、それをそのまま続けてやってもらいます。

ま、書いてしまうと簡単そうに見えますが、
実際にはなかなかうまく行かないんですけどね。