映画:リッスン

先日、『五感の音楽』という本を紹介した時に、
今公開されている映画『リッスン』についても、ちょこっとふれました。

『リッスン』 監督 牧原依里・雫境(DAKEI)
http://www.uplink.co.jp/listen/index.php

現在、大阪十三の第七藝術劇場で上映されていたので
日曜に観に行ってきました。

劇場(映画館)は6階にあり、エレベーターで上がるのですが、
乗り合わせた女性が同じ階で降りることがわかると、
「私に分かるかしら?感性で観ないといけないわよねぇ」
なんて話しかけてきました。
さすが、大阪おばちゃん、知らない人にでも声をかけてきます。

確かに僕も、「はたして分かるだろうか?」と心配でした。

実際に映画が始まりましたが、全編通じてサイレント。
館内は静まりかえっています。
自然と画面に集中していきます。

冒頭の方で、出演者の方(聾者)が音楽について語ります。

音楽は、心で感じた者をそのまま身体のすべてを使って表現するもの。
他の人が音楽を感じて表現したものに対して、
身振りなどで合わせていくと、
自分の中にも同じ様な感動がわき上がってくるんだ。
それは、スポーツに似ているかも。
(書き留めることができなかったので、ちょっと間違ってるかもしれませんが。)

出演者は国内外で活躍されている舞踏家の方から、
まったく演技経験のない一般人まで多彩ですが、全員聾者。

最初のうち、僕は無音の中で踊っている演者を観ながら、
なんとか分かろう、分かろうとしていました。
これはどんなリズムなんだろう?
普通の音に置き換えるならどんなメロディなんだろう?・・・と。

そうしたら、全然わかりません。
パフォーマンスがゆっくり続くシーンでは一瞬眠くなったり。

そこで、もういいや!
考えるのが面倒になって、画面見ながら、
何も考えずに演者の動きに身体を合わせてみることにしました。
(ほんのちょっとですけど)

特に6人で手でリズムを刻みながら踊るシーンでは、
こちらも楽しくなってくるのがわかりました。

あるいは、聾者の夫婦が奏でる動きもほのぼのとしたものが伝わってきました。

これまで、僕は五感を働かして感じることが大切と言ってきました。
特に聴覚は重要で、色々な音を聴くことで脳幹が活性化され、
生命力のようなものが培われていくのだと考えてきました。

しかし、それでは聴覚を先天的に持たない人々が生命力がないかといえば、
全くそんなことはないわけで、
そんなことはちょっと考えればすぐにでもわかることではあるのですが。
もちろん、皮膚で感じる音とか、圧倒的な美しい色彩や風景の前では
聴者も聾者もなく、感動することができれば、
それが生命力につながるのだと思います。

ただ、こうした聾者の心の中から沸き上がる音楽というものを見ていると、
逆に聴者の方が、音というものに縛られている様にも思えてきます。

映画を見ていくうちに、
この聾者の表現する音楽というのは、
幼児が楽しい時にスキップをするようなものなのかなと思えてきました。
幼い頃には、楽しいことがあったらスキップをしましたよね。
けれど、大きくなるにつれて忘れてしまいました。
あるいは、人に見られると恥ずかしいから、忘れたふりをしてきました。

あるいは、幼い時には、「上手に踊ろう」なんて考えていませんでした。
楽しいから踊っていたはずです。
そして、見よう見まねで踊っているうちに逆に楽しくなってくることも。

我々が健康な幸せな日々を送るヒントがこのあたりにあるのかもしれません。