冷えについて<西洋医学と東洋医学>

昨日、一昨日と、「冷え」は色々な病気と関連していることを書きました。

患者さんの診療を西洋医学的に行っていて、
どうもうまく行かない場合があります。
こういう場合、東洋医学的なものの見方で治療を行う場合があります。

そういう時に、重要な情報の一つとして”冷え”があります。
特に女性の場合、冷え性の人が多いので、
これを治療目標にしてみるとうまく行く場合があるといわれます。

以前から漢方の勉強会で冷えについて何回か学んだので、
それをまとめようと思った思った矢先、
昨年12月の日本医事新報に
「冷え」についての特集がなされているいのをみました。
まずはこれを 、自分の復習としてここに上げてみようと思います。

言葉が羅列してあるだけなので、
興味のない人はスルーしてください。
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<西洋医学的に「冷え」をとらえてみると>
・客観的な体温の低下
>「冷え性」は冷えに対する過敏な性格

1.産熱量の不足
2.熱の運搬障害
3.熱の放散過多

の3つのケースがある。

1.産熱量不足
・食事摂取量低下(ダイエット、栄養不良、偏食など)
・消化吸収障害(胃腸障害など)
・骨格筋総量の低下(女性)
・運動不足
・交感神経刺激(寒冷刺激(気温の低下、冷房など))
・甲状腺機能低下症

2.熱の運搬障害
・皮膚血管収縮(交感神経過敏反応)
・心機能低下(心不全など)
・動脈系異常(動脈硬化による血管狭窄)
・体温中枢障害(脳卒中、外傷など)
・静脈血流低下(筋拘縮・凝り)

3.熱の放散過多
・副交感神経優位の体質
・血管収縮性交感神経反応の低下(慢性ストレスなど)
・皮下脂肪組織の減少(高齢者、痩せた人)
・保湿力の低い乾燥肌
・過度な飲料摂取
・発汗過多(精神性発汗過多)

<東洋医学的に「冷え」をとらえてみると>
A.気血水による冷えのとらえ方
1.「気」の異常
・気虚・気滞・気鬱:熱産生不足や自律神経バランスの乱れによる体温調節障害
・気逆:上半身ののぼせと下半身の冷え
・心の冷え症

2.「血」の異常
・血虚:貧血、血小板凝集、赤血球連銭形成、血管収縮
・お血:毛細血管での血流停滞、微小循環障害
(「お血」の「お」は病だれに於)

3.「水」の異常
・水滞(水分の停滞・偏在)、水毒(水の代謝異常)
:腹水、浮腫細胞内水分量増加

B.寒熱による冷えのとらえ方
1.下半身型冷え症
・足先から腰までの下半身が冷えるタイプ
・30代男女
・「上熱下寒」:下半身冷え+上半身のぼせ
・疲労や老化⇒臀部筋が交感神経を含む坐骨神経を圧迫
⇒下肢動脈狭細化・血流低下
・上半身のぼせ型:副交感神経優位な体質に多い
:熱容量は健常者と同じため単純に身体を温めるのは有効でない
・冷え+痛み・しびれ
⇒閉塞性動脈硬化症、坐骨神経痛、腰部脊柱管狭窄症などのこともあり要注意

2.四肢末端型冷え症
・やせ形、ダイエット思考の強い10~20代の女性
・主観的な冷え=手足厥寒
・客観的な冷え=手足厥冷
・熱産生が少ないため防御的に血管収縮性交感神経過敏反応
⇒対照的に体幹部や脳の血流増加=頭痛
・手掌・足底の精神性発汗に伴う冷えの場合もある

3.全身型冷え症
・冷え症の中では頻度は低い
・若年者・老人
・客観的な冷え(手足厥冷)+内臓の冷え=表裏倶寒
・基礎代謝量の低下
・運動制限
・慢性的なストレス
・不摂生
・病気による体力消耗
・潜在的な甲状腺機能低下症
・隠れ冷え症:体温のセットポイントが低下し低体温(アナパイレキシア)
⇒冷え症の自覚がない

参考文献
日本医事新報 No.4781 2015.12.12 p.18-23 「冷えのとらえ方」