僕が医者になるまで3 大学の授業と再受験

僕が医師になるまで2」の続きです。

そんなわけで、金沢大学に入学したこと自体は、
そこで受けた授業が僕にもたらした影響なども考えると、
決して無駄なものではなく、
むしろ今の自分にとってなくてはならない経験であったと思います。
(そのあたりについては、また機会があればお話ししたいですね)

ただ、当時の生物学科には、
まだ分子生物学や遺伝子工学を本格的にやっている教室がありませんでした。
分子生物学をやるなら、やっぱり医学部かなとの思いもあり、
また、多少の医学部への未練もありました。

そこで、もう1回だけ医学部受験をチャレンジしてみようと思いました。
幸い、当時の金沢大学は在籍したままで、他校の受験が認められており、
このことが僕にとって幸運でした。
帰るところを確保したまま、チャレンジできる。
これはすごく精神的に楽でした。

大学再受験にあたって、大学の授業はきちんと単位を取る。
これは最低限自分に課した条件でした。

ところが、この大学の授業にきちんとでることが
再受験の勉強にも意外と有効だったのです。
(まあ、それがわかるのは、合格してからのことなんですが。)

僕は英語が苦手でした。特に長文読解。
しかし、大学の教養部の英語の授業は長文読解です。
大学の授業をうけるだけで、少なくとも長文読解の勉強はOKです。

大学ではドイツ語も選択しましました。
これがまた意外にも、
英語以外の言語を勉強することで、英語への理解が進んだ様でした。

さらに、数学は大学の授業では偏微分などを習います。
高校で習った微分より一つ次元があがるわけですから、
高校の微分の問題が少し易しく感じられました。

また、古文も苦手でしたが、大学での授業では、
源氏物語の「若菜」と近松門左衛門の「女ころし油のぢごく」で、
多少なりとも古文に親しむことができました。

こうして、大学の授業を受けながらの再受験勉強ですので、
あまり時間がありません。
そこで、最小限の勉強としてラジオ講座を半年聴き、
あとは模試を受けて、その問題を何度も繰り返しやってみることでした。

僕は熱しやすいけど飽きっぽい性格です。
それまでの勉強では問題集を買っても、1回やったらそれでおしまい。
その問題集に飽きて、新しい問題集に手を付ける・・・
そんなんでしたから、できる問題はできるけど、
できない問題はいつまでたってもできない、
そんなところがありました。

それが、時間がないことが幸いして、
模擬試験の問題を繰り返しやることで、
多少なりとも学力が上がったのでしょう。

しかし、大学生活もエンジョイしながらの受験勉強です。
最後の方は、結構大学生活も気に入っていて、
「たぶん、このまま生物学科で行くのだろうな」
と漠然と思っていました。

ま、そうは言っても、せっかく1年間多少なりとも勉強してきたのです。
在籍したままで受けられるのだから受けるだけ受けてみよう、
そんな感じの再受験でした。