本:脳を休める技術2

昨日からの続きです。
『脳を休める技術』 奥村 歩,KANZEN』

デフォルトモード・ネットワークには
ひらめきやアイディアを生む以外にも大きな働きがあるそうです。
それは自分という人間を見失わないためのシステム。

自分が自分であるという自己認識や自分らしさを知ること。
あるいは、自分は今、「いつ」「どこで」「何をしているのか」
という見当識や社会的立場といった自分の立ち位置の把握。
こうした自分モニタリング機能があり、
自分の「過去」「現在」「未来」をつなげて、
自分が進むべき人生の道を照らし出す役割があるのだそうです。

このデフォルトモード・ネットワークを活性化させるためには、
脳をしっかりと休める必要があります。

つまり、武田鉄矢さん風にいいますと、
”心が亡くなると書いて「忙しい」と読みます。
 人は忙しくなると自分を見失うものです。
 だから、時には立ち止まって脳をしっかり休めて、
 自分を見つめ直なおさなければいけましぇん”
みたいなことなんでしょうね(笑)。

本書には、この脳を休める方法について、
1)職場編 2)家庭編 3)休日編 4)ネット/スマホ編
と、4つに分けて解説してあります。

たとえば、仕事編であれば、
”マルチタスクをやめてモノタスクに”とか、
家庭編であれば、”単純な作業に没頭する”、
休日編であれば、”高いところに上ってみる”、
そして、ネット/スマホ編では、
”デジタル・デトックスをやってみる”
”すぐに検索をするのをやめてみる”
といった、具体的な方法が、たくさん書かれてあります。

(上に紹介したのはごく一部です。
ご興味のある方は、本をお読みください。)

この中で、やっぱり最近気になるのはネット/スマホ編。
ネットやスマホは便利なものだからついつい使ってしまいます。
しかし、この本にも書いてましたが、
最近「情報メタボ」という言葉まであるように、
情報もインプットばっかりだと
物忘れ、思考力・遂行実行機能の低下、集中力低下などの
症状が生じやすくなるそうで、
これは、いわば脳の生活習慣病なんだそうです。

この脳の生活習慣病を改善する処方箋が
この本にはたくさん書いてあります。
・ 息抜きにネットサーフィンはやめる
・ 起きてすぐスマホをチェックしない
・ 食事中、会話中はスマホを慎む
・・・などなど。

そういえば、若い人で
「最近、聞こえが悪くなった気がする」
「会話していても相手の声が聞き取りにくい」
と言って受診される人が多くなったような気がします。
そして、そういう人の多くは聴力は正常です。

まあ、最近はみんなマスクをしているので
確かに聞き取りにくいこともあるのですが、
こうした人の中には、
スマホやパソコンでワーキングメモリーを
めいいいっぱい使ってしまって
脳の処理が追いつかなくなっている人も多いと思います。

ちょっと前に、
「ボーっと生きてんじゃねえよ!」
という言葉が流行りましたが、
チコちゃんに叱られても、
たまにはボーっとするのも必要なのかもしれません。