日本栄養精神医学会@川越1

最近栄養学にはまっているということは、
当院のブログを読んでいる方ならご存じかと思います。

いろいろと栄養に関する情報に目がとまるようになっていたところ、
Facebookで大学の同級生が、
日本栄養精神医学研究会に「いいね!」をしているのに気が付きました。
そこで会長の奥平先生という方が、
いろいろとつぶやかれているのを読みました。
ホームページも作られています。

>【食と心】の栄養精神医学 メンタルヘルスは食事から

”メンタルヘルス(心の健康)を守るうえで、食事と栄養の視点は、欠かすことのできない柱です。​​​

​貧血の有無に関わらず、鉄欠乏の女性を奥平が「鉄欠乏女子(テケジョ)」と名付けましたが、未だに多くの女性や子どものメンタル不調の背景に鉄欠乏があります。

​​私はこの「栄養精神医学(Nutritional Psychiatry)=食と心の医学」を日本に根づかせ、薬だけに頼らない、新しい心の医療を広げていきたいと願っています。”

(上記ホームページより)

確かにその通り!
耳鼻咽喉科でもメンタルが関連してそうな病態はたくさんあると思います。
それが食習慣を見直すことでよくなるかもしれない!
そう思って、奥平先生が主催する日本精神医学研究会に昨年の秋入会しました。
そして、2025年10月12日(日)川越で総会があるというので行ってきました。

この日本栄養精神医学研究会ですが、
この日10周年ということで、研究会は日本栄養精神医学会へと発展を遂げました。

というわけで、総会での先生方の発表を題名とテキストからの引用を
ちょこっとだけ上げておきます。
ご興味を持たれた方は日本栄養精神医学会のホームページをご覧ください。

まずは一般演題です。

1.ビタミンB6投与により多動、衝動性や対人相互性が改善した発達障害の3歳男児症例

ビタミンB6は音過敏を伴う神経発達症に対して行動面の改善が期待されているそうです。

2.マグネシウムサプリメント内服およびマグネシウムオイル概要が有効であった不安焦燥感の強いうつ病の40歳女性の一例

マグネシウムが不足するとNMDA受容体が過敏化し、
グルタミン酸系が暴走して不安と焦燥感が増幅するそうです。
マグネシウムの不足は血清マグネシウムだけでは不十分で、
こむら返り、肩こり、歯ぎしり、動機、不眠、PMSの増悪
といった臨床徴候を重視する必要があります。

3.特殊な経過をたどり、鉄中心の栄養対策で治療した産後不安障害の症例
産後に不安障害を呈した症例

貧血はない(Hbはおおむね正常範囲)が、フェリチンの著明低下を認め、
鉄剤(+亜鉛・ビタミンD・タンパク質)の補充を行うことで
指標の改善とともに症状が改善した症例。

4.治療に難渋した筋筋膜性疼痛に伴ううつ状態の50歳代男性症例

筋筋膜性疼痛の中心的な病態は「中枢感作」。
炎症や神経過敏が長期に持続することで、
脳や脊髄の痛みネットワークが過剰に興奮し、
痛みの信号が”鳴りやまない警報”のように続いてしまう状態。
ここで重要なのがNMDA受容体。
マグネシウムは、普段はこの受容体のチャンネルを塞ぎ、
ブレーキとして働いているそうなのですが、
マグネシウムが不足すると、ブレーキが利かない車のように暴走するのだと。

5.栄養精神医学を中心とした訪問看護が有用であったうつ病23歳女性症例

「伝える」から「定着させる」への変換こそ、訪問看護が担う最大の臨床的価値。

確かに、診察の時、「ビタミンDを摂った方がいいよ」とか、
「甘いものを控えましょう」とか言いますが、
どれだけ患者さんに届いているかなといつも思います。

6.食事療法と鍼灸の併用により職場復帰に至ったうつ病の30歳女性の1例

鍼灸治療と栄養療法を併用したことで短期間で抑うつ症状が改善。
鍼灸によって即時的に筋緊張や不安感が軽減され、
同時に栄養療法が中長期的な体力回復や
神経伝達物質の材料補給に寄与したと考えられた症例。

7.亜鉛製剤で倦怠感が改善した新型コロナウイルス罹患後うつ状態の20歳女性

感染後に倦怠感、抑うつ、ブレインフォグが持続。
抗うつ薬の効果は限定的で、血液検査でフェリチン低値、亜鉛境界域低値を認めた。
胃潰瘍があるため鉄剤投与はせず、亜鉛製剤を導入したところ、
血清亜鉛値の改善とともに倦怠感や活動性の改善を得たという症例。

LongCOVIDの倦怠感では栄養医学的評価が必須。
フェリチン・亜鉛・ビタミンD・B群などを測定し、
本症例のように正常下限値でも介入を検討することが重要だとのこと。

このあと、奥平智之先生の会長講演となります。

続きは次回。