もう少し、
『花粉症は1週間で治る(最新版)』 溝口 徹 著,さくら舎
に沿って、花粉症治療について見ていきましょう。
4)ビタミンA
ビタミンDを積極的に摂っても
花粉症が改善しない人が時々あるそうです。
そういう時はビタミンAも積極的に摂るといいそうです。
ビタミンAについての記載は初版本よりかなり詳しくかかれています。
ビタミンAは皮膚のバリアに貢献しています。(p.137)
花粉症は鼻の粘膜だけで感作されるわけではないようです。
皮膚が荒れてバリア機能が失われると、
皮膚からも花粉の抗原が入り込み
花粉症を発症するきっかけになる様です。
ですので、皮膚もしっかり花粉をブロックしなければいけません。
皮膚のバリア機能がしっかりしていれば、
花粉がやってきても反応しない体でいられます。
また、ビタミンAは皮膚の天然保湿因子の産生を促す作用もあるそうで、
この保湿機能も皮膚のバリア機能として働きます。
さらには、ビタミンAは腸管免疫でも
重要な役割をになっていることがわかってきたそうです。
腸管粘膜細胞を正常に分化成長させ、
IgA抗体の産生を適正化する働きがあると考えられています。
こうしたビタミンAですが、「積極的に摂取を」と言うと、
過剰摂取はよくないという話がでてくるそうです。
過剰摂取による弊害で有名なのは胎児の奇形なんだそうですが、
これは誤解されているとのこと。
ビタミンAは、実は類似する多数の化合物の集合体で、
その代謝経路は、
レチニールエステル⇒レチノール⇒レチナール⇒レチノイン酸
なのですが、
レチナールまでは過剰になれば
前の不活性型に戻ることができるそうですが、
レチノイン酸は活性が強い上に不活性型には戻れないため、
直接レチノイン酸を摂取する際には
過剰摂取に気を付ける必要があるのだそうです。
このレチノイン酸を妊娠初期に過剰に摂取した場合に
胎児の奇形などが生じるので、
本当は「レチノイン酸を飲んではいけない」
とすべきなんだそうです。
ですので、ビタミンAの摂取は、
できれば食材からがよいとのこと。
もし、マルチビタミンのサプリを摂る場合は、
「レチノイン酸」でないことを確認しておく必要があるそうです。
食材から摂る場合は、
動物や魚の内臓にビタミンAは豊富に含まれています。
特にビタミンAは脂溶性なので、
脂ののったうなぎには多く含まれています。
さらに溝口先生はその他にも、
しらす、ししゃも、食べる煮干しなど、
丸ごと食べる魚をオススメされています。(p.151)
しらすは生より天日干しの方が、
ビタミンDの量も増えている可能性が高いのでよりおすすめなんだと。
植物性食品では、にんじんやカボチャなど緑黄色野菜に豊富ですが、
キノコ類にもたくさん含まれています。
特に天日干しのしいたけは、
しらすと同じくビタミンDの濃度が高まっている可能性があり、
より効果を期待できます。
5)鉄
花粉症に悩む人、特に女性は、
ミネラルの鉄が欠乏している人が多く、
補うことで症状が緩和されることがわかっているそうです。(p.160)
鉄はヘモグロビンに使われますが、
鉄不足になると酸素が粘膜にしっかり行き渡らなくなるので、
粘膜の機能不全、免疫の機能不全が生じます。
ただ、ヘモグロビンに異常がでるのはかなり欠乏が進行してからで、
その前に他の酵素に影響が出るそうです。
たとえば、カタラーゼという酵素は鉄を含んでいますが、
活性酸素を消去するのだそうで、
その点でも鉄は、腸や鼻、目の粘膜細胞を
丈夫にさせる役割をはたしています。
鉄不足になると活性酸素で免疫システムがダウンし、
花粉症の様なアレルギー疾患を起こしたり、
風邪やインフルエンザにかかりやすくなるのだそうです。
鉄が足りているかどうかは、
血液検査でヘモグロビンが正常でも油断はできません。
僕もこれは昔は知らなかったのですが、
検査する場合は、血清中の鉄とさらにフェリチンも測定します。
血清鉄はお財布の中身みたいなもので、
フェリチンは通帳にどれくらいあるか、みたいな感じです。
鉄の補給の原則はやはり食べ物です。
マグロやカキなど動物性の鉄はヘム鉄と呼ばれ、
ほうれん草など植物性の非ヘム鉄より吸収率がよいそうです。
もしサプリで鉄を補う場合も、
動物由来のヘム鉄の方が腸管にもやさしくいいようです。
一つ注意点は、キレート鉄という吸収率を高めたサプリがあるそうですが、
これは吸収に抑制がかからないので、過剰症を引き起こす危険があります。
身体には鉄を排泄するしくみがありませんので、
過剰に摂取した鉄はいろいろな臓器に沈着し不具合が生じます。
次回に続く
