もう少し、
『花粉症は1週間で治る(最新版)』 溝口 徹 著,さくら舎
に沿って、花粉症治療について見ていきましょう。
3)ビタミンD
近年、ビタミンDの骨への効果以外の作用が注目されるようになりました。
その中でも、とりわけ重要な役割を担っているのが免疫です。
最新版の方には、
初版本にはなかったコロナ感染症時の研究についても言及されています。
ビタミンDを摂取していたグループは摂取していなかったグループに比べて
予防効果や治療効果があったという報告があるそうです。(p.104)
詳しくは本書をお読みください。
ビタミンDの感染症に対する効果は、
ビタミンDが細胞核に入り、
抗菌ペプチドを産生させるからなのだそうです。
この抗菌ペプチドについえは当院のブログでも一度お話しました。
>Let’s Study 栄養学3 Vitamin D vol.3
冬になると風邪をひきやすい
(といっても、最近は夏でも風邪をよく引くともいますが)
その理由は、紫外線に当たる時間が少なくなり
体内のビタミンD濃度が下がってくるからの様です。
これは感染症の話ですが、
風邪をひくと粘膜が荒れます。
荒れた粘膜には花粉もくっつきやすくなりますので、
このビタミンDの粘膜バリア機能更亢進も
花粉症を抑制する効果なんだと思います。
次に、ビタミンDで最近注目されているのが、
インスリンの合成と分泌にも深く関わっていること。
ビタミンDは血糖値を改善させる働きもあるのだそうです。
これは全く知りませんでした。
血糖の変動はリーキーガット症候群とともに
自律神経失調症の原因にもなります。(p.117)
自律神経の乱れも花粉症と関連があります。
普段の診療でも、疲れたりストレスが多いと
確かにアレルギー性疾患はひどくなる印象があります。
さて、こうしてビタミンDが花粉症治療に不可欠な
栄養素であることはわかりましたが、
実は日本人の98%は
ビタミンDが足りていないという報告があります。
厚生労働省によるビタミンDの1日の摂取量の目安は、
年齢性別を問わず5.5㎍(国際単位で220IU)なんだそうですが、
これは欠乏症(くる病など)をきたさない最小限の量。
代替療法の権威的な存在であるACAMというところが
2015年の学会においてビタミンDの血中濃度の推奨範囲は
50~80ng/mLと公式に発表したそうなのですが、
日本のある検査会社の基準は5.5~41.4ng/mLで、
推奨範囲の下限にも達していないのだそうです。(p.122)
しかも、この基準値は、
一般の人を集めてきての平均みたいなものですから、
もともと低い人が多かったら、
低くても、そんなもんだになっている可能性もあります。
現在のところ、全く安全でしかも効果をきちんと得られるのは、
1日2000IUと言われているそうです。(p.124)
では、このビタミンDをどのようにして摂取するかですが、
原則は食事からと紫外線を浴びることです。
ただ、紫外線は皮膚がんや老化の進行が心配から
近年、UVカットの日焼け止めなどで、
紫外線対策をするようになりました。
ただ、骨の成長期はしっかりビタミンDを摂っておかないと
将来、骨はスカスカで肌は白くてもシワやたるみが
目立つようになってしまうそうで、
成長期にはしっかりと日光を浴びておくことも大切です。(p.119)
ですが、一般的には紫外線は
浴びるより避ける方が中心になってしまいます。
では、食事はどうでしょう?
ビタミンDの多い食材といえば、
太陽の日差しをたっぷり浴びた干しシイタケやキクラゲなど
キノコ類や、サケやイクラ、スジコ、うなぎ、サンマ、イワシなど
魚類と言われています。
ところが、干しシイタケも機械乾燥の場合は
ビタミンDはあまり多くは含まれていない様です。
また、日本人は戦後食事の欧米化がすすみ、
魚類の摂取量は激減してしまっています。
著者の溝口先生は、
食事で必要量を摂取するのは難しいので、
サプリメントでの補給もやむ得ないと考えていらっします。
実際、ノルウェーやアメリカなど欧米諸国では
昔からビタミンDの摂取源として
サプリメントが推奨されてきたそうです。(p.120)
サプリメントでビタミンDを補う時に注意点が一つ。
それは天然に近い形のビタミンDを選ぶことだそうです。
天然のビタミンDは前駆物質で吸収され、
体内で活性化されそれぞれの細胞に働きます。
サプリとして摂取する場合は、
活性化される前の”25(OH)ビタミンD”の状態で
摂取するのが、副作用等の危険も少なく安心です。(p.126)
次回に続く
